健康食品ブームにより、青汁もたくさんの製品が販売されていますが、そもそも青汁とは一体何なのでしょうか?
青汁の定義について、考えてみましょう。
青汁は「生の緑葉野菜の搾り汁」
青汁を考案された遠藤仁郎博士によれば、青汁の定義は「生の緑葉野菜の搾り汁」というシンプルなものになります。
そもそも青汁が作られた経緯は、戦後の食糧難による栄養失調の改善を目的に遠藤博士が試行錯誤したというところから始まります。
まともな食料がなかなか手に入らない中、それでもできるだけより多くの栄養を一度に摂取できるように、と身近にあった緑の菜っ葉から搾り汁をとることを思いついたのです。
その後、これが健康に良いとされ、より栄養価の高いケールを使って作られた青汁が、九州地方で売られるようになりました。
青汁はこういった経緯の元、この「生の緑葉野菜の搾り汁」というスタイルを確立してきたのです。
「生の緑葉野菜の搾り汁」である理由
では、なぜ遠藤博士は「生」の「緑葉野菜」の「搾り汁」であることにこだわったのでしょうか。
「生」のまま使う理由
より多くの栄養摂取を目的に青汁は考案されています。つまり、できるだけ栄養の損失を抑えた作り方が望ましいということ。
しかし、実は水溶性ビタミン(特にビタミンC)は、加熱によって失われてしまう栄養素なのです。特にビタミンCは抗酸化作用も強く、体内で失われることが多いため、できるだけ摂取したいところ。
この損失を抑えるために、青汁は「生」の状態で作らなければならないのです。
ちなみに、現在の青汁製品のほとんどは粉末状で販売されています。これは、フリーズドライ製法といった、できるだけ加熱処理を控えた方法で粉末化されたもの。
搾ってそのまま冷凍処理をした冷凍青汁よりは多少栄養の損失もみられますが、全ての水溶性ビタミンが失われているわけではないので、ご安心ください。
とはいえ、格安で売られている粗悪品の青汁は加熱処理されているものもあるようなので、これには注意が必要になります。
「緑葉野菜」じゃなきゃいけないの?
マッカラム著の『栄養新説』において、野菜、ことに緑葉の優秀性が解説されています。
食糧難でとにかく食べられるものを、と緑の葉っぱを食べていた時代の遠藤博士は、これを読んで緑葉野菜の栄養価の高さを確信し、精力的に摂取するようになったようです。
その後、青汁が確立した当初はその栄養価の高さからケールを使ったものが主流でしたが、これには味が悪く飲みづらいという難点がありました。
そこで明日葉や大麦若葉といった、比較的飲みやすい味で栄養価も十分なケールに代わる材料が使われるようになります。
現在ではさらに蓬(よもぎ)や桑の葉、さらにはゴーヤやユーグレナといった、葉ではないものまで原材料に使われた青汁も多く見かけるようになりました。
青汁が考案された時代にはほとんど認知されていなかった素材もネットの普及により多くの人が知ることとなり、青汁の材料の選択肢も大きく広がりました。
そんな現在の青汁を「緑葉野菜」とひとくちにまとめてしまうのはいささか難しいでしょう。野菜の緑色の正体である「葉緑素」を多く含んだ素材が現在の青汁の原材料の条件といえるかもしれません。
「搾り汁」という加工
遠藤博士は最初、緑葉野菜を軽く茹で、陰干ししたものを細かく切ったり粉末にしたりして、煮物や炒め物に使って食していたようです。
しかし、やはりこれはどうにも食べにくく、あるときふと、生の搾り汁のほうがより栄養価も高く、のど越しも良く飲めるのではないかと思い立ったといいます。
その後、肺炎にかかった子供に実際に生の三つ葉の絞り汁を飲ませたところ、たちまちに治ったというのです。この経験を経て、青汁は作られるようになりました。
現在、厚生労働省では成人で一日あたり350gの野菜、さらにそのうちの120gは緑黄色野菜としてそれらを食べることを推奨しています。
しかし、実際にそれだけの量の野菜を摂取することは案外難しいのです。現代の野菜の平均摂取量はおよそ280gと推奨量に届いていません。
そういった現状のなか、野菜の栄養をそのまま搾り取った搾り汁を飲むというのは、とても効率よく野菜を摂取することができる方法なのです。/p>
青汁を飲むうえで気をつけたいこと
青汁が生の緑色野菜の搾り汁で、野菜不足を補うのに優れた飲み物であるということが分かったかと思います。
しかし、だからといって青汁だけで野菜を全て食べた気になってはいけません。
青汁はあくまで健康食品のひとつです。確かに健康を保つ上で力になってくれますが、その前提には基本的にバランスのとれた食生活があります。それでも摂取しきれない栄養を補ってくれるのが青汁です。
青汁で謳われる効果も、栄養が足りずに現れた不調に対し、栄養を補填してバランスを整えることで、本来の正常で健康な状態に戻す、ということに他なりません。
青汁を始めようと思ったのなら、これをきっかけに、普段の食生活も見直してみてください。