青汁の栄養素(ビタミンC)

ビタミンCというと美肌によい、美容のための栄養というイメージがある方も多いのではないでしょうか。実は健康を維持するのには絶対に欠かせない、大事なビタミンなのです。

青汁でビタミンCを効率よく補給するにはどうすればいいか、考えていきましょう。

ビタミンCとは

そもそもビタミンCとはどういう栄養なのでしょうか。

化学名はL- アスコルビン酸という、水溶性ビタミンの一種です。

また、ヒトは体内でアスコルビン酸を合成できないため、食事から摂取する必要があります

1900年代に抗壊血病因子として発見され、ビタミンCと呼ばれるようになりました。

厚生労働省では、成人一日当たりの摂取量が100mg以下になると、壊血病といった欠乏症状が出るとして摂取を推奨しています。

ビタミンCのもつ働きは以下の通りです。

  • コラーゲンの生成
  • メラニン色素の合成の抑制
  • 胆汁酸を増やす
  • 鉄の吸収を促進
  • 強い抗酸化作用
  • 抗ストレスホルモンの合成

これらによってどんな効果が得られるのか、具体的にみてみましょう。

ビタミンCの働き

丈夫な血管を作る

大航海時代、原因不明の病気である壊血病は海賊以上に恐れられていました。

壊血病とは歯茎や内臓から出血し、そのまま死に至る病です。

壊血病の原因はビタミンCの欠乏です。

現在だとコラーゲンは美肌によいというイメージですが、本来は細胞間を結びつける役割を持ち、筋肉や骨、皮膚や血管を丈夫に保つ働きをしています。

このコラーゲンを生成するのにビタミンCが欠かせないのです。丈夫でしなやかな血管は動脈硬化を防ぎ、高血圧の予防にもなります。

美肌効果

肌の細胞同士を結びつけるコラーゲンを生成するためにビタミンCは欠かせません。これによりしわを防いだり、傷の治りを早めたりしてくれる効果があります。

また、メラニン色素の合成を防ぎ、シミ・そばかすや肌のくすみを抑えてくれます。

コレステロールの低下

コレステロールは体外に排出されるとき、ビタミンCの働きによって胆汁酸へと変化して排出されています

つまり、ビタミンCが不足しているとコレステロールが胆汁酸へと変化できなくなってしまい、体内に溜まっていってしまうのです。コレステロール値が高くなると動脈硬化や高血圧の危険も高くなります。

青汁にはコレステロールを吸収する前に排出してくれる食物繊維も豊富に含まれているので、コレステロール値が気になる方はぜひ青汁を飲んでみてください。

貧血予防

鉄は通常、そのまま摂取しても体内に吸収されにくい状態にあります。

ビタミンCは胃の中で鉄分と作用し、腸管で吸収されやすくする作用があるのです。

青汁は鉄分も多く含んでいるので、貧血の方にも意識して飲んでみて欲しいところです。

がん予防

ビタミンCには強い抗酸化作用があります。これは細胞を老化させる活性酸素の除去に役立ち、アンチエイジングとして注目を集めていますが、実はがん予防にも役立つとされています。

というのも、がんは染色体異常の一種とされていますが、活性酸素は細胞の染色体異常を引き起こすと考えられているためです。

さらに、体内で発生してしまうニトロソアミンという発がん性物質の発生を、ビタミンCが抑えてくれるということが近年証明されました。がん予防にも役立つ栄養なのです。

ストレスの緩和

人間はストレスを感じると副腎からアドレナリンやノルアドレナリンといった抗ストレスホルモンを分泌します。

コルチゾールというホルモンもそのうちのひとつで、これは合成されるときに大量のビタミンCを消費します。

コルチゾールの分泌量は多すぎても少なすぎても良くなく、どちらでも血糖値や睡眠をはじめとした体の機能に障害が起きてしまいます。

ストレスと戦ってくれるコルチゾールの分泌量を保つためにも、ビタミンCをきちんと摂取しておく必要があるのです。

もちろんこれら以外にも様々な効果があります。

ビタミンCはとにかく体の基本をつくり、支えるために欠かせない栄養素です。体の不調を感じたら、まずビタミンC不足ではないか気をつけて、青汁で補ってみましょう。

おすすめの青汁

ビタミンCの摂取を目的に青汁を飲むのであれば、ケールを原料とした青汁を飲むことをおすすめします。

また、貧血が気になる方は合わせて鉄分が豊富に含まれている大麦若葉も原料に利用されている青汁を選ぶといいでしょう。

100gあたりの含有量(mg)
ビタミンC
ケール 81 0.8
大麦若葉 7 4.16
明日葉 41 1

このように、ビタミンCの含有量はケールが特に多いです。

ビタミンCは水溶性のビタミンのため、体内で蓄えておくことができません。

そこで、青汁の製品を選ぶ際は、一日一杯のものより、一日複数回飲むことを推奨量にしているものを選んでみてください。一度にたくさんのビタミンCを摂取しても余剰分は消費されることなく体外へ排出されてしまうため、少量ずつ何度かに分けて摂取したほうが効果的なのです。

また、同様の理由から、飲むタイミングは食後の満腹時をおすすめします。満腹時のほうが青汁の吸収がゆっくり行われ、ビタミンCも少しずつ吸収されていくため、長時間にわたって青汁から摂取したビタミンCの効果が発揮されます。

さらに食事でたんぱく質を摂取した後なら、より効率よくコラーゲンの生成を行うことができます。

コラーゲンの生成も目的とするなら、最もバランスの良いアミノ酸スコア100の食品(肉や魚、卵など、動物性たんぱく質に多い)を食べた後に青汁を飲むことが最も効果的でしょう。

健康と美はまず食事から、これらを意識してみてください。

注意点

前述の通り、ビタミンCは過剰に摂取しても余剰分はそのまま体外へ排出されます

そのため、過剰症のような心配は特にありませんが、まれに下痢を起こすことがあるようです。というのもビタミンCには善玉菌の餌となって腸内活動を活発にする働きがあるためです。

といっても、これは数グラム単位で摂取した場合にしか見られない症状のため、青汁を数杯飲む分には心配ないかと思います。とはいえ、商品に記載された推奨量は守って飲むようにしてください。

また、ビタミンCは非常に壊れやすい成分のため、熱するとせっかくの栄養が失われてしまうことがあります。

現在ではフリーズドライ製法によってビタミンの損失を極力抑えて作られるようになりましたが、極端に安い製品の青汁は加熱して作られていることもあるようです。

購入前には必ず成分表示を確認するようにしましょう。

同様の理由から、青汁をホットで飲みたい場合は、青汁そのものを加熱するのではなく、あらかじめ温めた牛乳やお湯などに混ぜて手早く飲むようにしてください。