最近良く見かける原材料名のうちのひとつ、「増粘多糖類」。
青汁にも含まれていることがあるのですが、みなさんはこの増粘多糖類が一体何なのか知っていますか?
実は、増粘多糖類とはひとつの個別の成分をさしているわけではないのです。この増粘多糖類について、ご説明いたします。
増粘多糖類とは?
まず、そもそもこの増粘多糖類が一体何のために添加されているかご存知でしょうか?
添加物の主要な8用途である甘味料、着色料、保存料、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防かび剤、増粘安定剤のうち、最後の増粘安定剤に含まれます。
主に食品に粘性や接着性を与えたり、ゲル化させたりするための添加物です。青汁に関しては安定化やのど越しをよくする目的で使用されることが多いようです。
ですがこの増粘多糖類は前述の通り、成分の個別名称というわけではありません。
原則、原材料欄は個別の物質名を表示しますが、増粘安定剤として2種類以上の天然の多糖類を使用した場合は物質名を「増粘多糖類」として簡略化した名称で表示できるのです。
これが、様々な食品で「増粘多糖類」という表記を見かける理由となります。
多糖類には何がある?
そもそも多糖類とはどういうものでしょうか?
その名の通り、グルコースやマンノースといった単糖が長く繋がったものの総称です。繋がった数や繋がり方によって様々な性質を持ちます。でんぷんや食物繊維はこの多糖類に分類されます。
では、多糖類にはそれぞれどのようなものがあって、どういった性質を持つのか。増粘安定剤で使われる代表的な多糖類をまとめてみました。
由来 | 特徴 | |
---|---|---|
グァーガム | 植物(種子) | 特に高い粘度をもつ。 |
ペクチン | 植物(果実) | たんぱくと反応して安定化させる働きがある。 |
カラギナン | 海藻(紅藻類) | 懸濁安定効果をもつ。 |
寒天 | 海藻(紅藻類) | 融点が90℃以上で耐熱性に優れる。 |
アルギン酸 | 海藻(褐藻類) | 乳安定効果、泡沫安定効果をもつ。 |
キサンタンガム | 微生物発酵(でんぷん) | 凍結解凍耐性、耐酵素製をもつ。 |
いずれも増粘性や安定化のために使われます。
これらのほかにもまだたくさんの多糖類に分類される成分はあります。
上記の成分はすべて自然由来のものなので、これらが二つ以上増粘安定剤として使われた場合「増粘多糖類」として表記されるのです。
増粘多糖類が含まれている青汁は安全?
増粘多糖類は添加物の一種ですが、そのほとんどが食物繊維になります。基本的には安全と考えてしまって良いでしょう。
カラギナンに関しては以前炎症を引き起こすだとか発がん性をもつ疑いがあるといわれていました。
しかし、
- げっ歯類を用いた動物実験ではそもそも通常では人間が摂取するには不可能なほどの大量投与が行われていた
- カラギナンによる炎症はサルでは起きなかった
ということから、げっ歯類に対しては悪影響があるものの、人間に対しては特に害はないとしてWHOでは一日許容量も設定されていません。
食物繊維は本来の青汁そのものに十分含まれているので、わざわざ増粘多糖類が含まれた青汁を選ぶ必要はありませんが、原材料欄の最後のほうに書かれている程度だったら気にする必要もないかと思います。
もちろん、自然由来だからといって本当に全ての増粘多糖類に毒性が絶対ないとは断言できません。
自分で青汁を選ぶ際、「増粘多糖類」と書かれていて何が使われているのか気になるときは、生産元の会社に電話で確認してみるのも良いでしょう。
自分の納得できる青汁をぜひ見つけてみてください。