
青汁について調べていると、よく目に付くのがこの「クロロフィル」という成分。
葉緑素と言い換えた方が分かりやすい方も多いと思いますが、このクロロフィル、一体どんな効果があるのでしょうか?
ここではこのクロロフィルについてご紹介していきます。
クロロフィルとは?
植物や藻類に含まれる緑色をした脂溶性の天然色素で、葉緑素ともいいます。
太陽の光エネルギーを使い、水と二酸化炭素から糖と酸素を合成する光合成を行うのがこのクロロフィルです。植物たちが光合成を行うのに必要不可欠な成分なのです。
動物の血液に含まれるヘム(ヘモグロビンの中心構造)とよく似た構造をしていることから、「植物の血液」ともいわれています。
クロロフィルの効果
クロロフィルには一般に以下のような作用があるとされています。
- 抗酸化作用
- 消臭、殺菌効果
- 血中コレステロール値の安定
- 造血作用
では、これらは具体的に、私たちの体にとってどう働くのでしょうか?
染色体異常の発生を抑制
何らかの原因により染色体の数や形が変わってしまうことを染色体異常といいます。
これには先天的なものと後天的なものがあります。
後天的なものの場合、放射線や化学物質、活性酸素などが原因です。
通常であれば、染色体異常になった細胞はすぐ死にます。しかし、異常細胞を殺す遺伝子自体に異常が起きた場合、その細胞は生き残ってしまう場合があります。
生き残った染色体異常の細胞は繰り返し細胞分裂することで大きくなります。これが最終的にガンになるのではないかというのが現在の見解です。
固形ガンの90%、血液系腫瘍の75%は染色体異常であるといわれています。
そんな中、クロロフィルの強い抗酸化作用が、染色体異常の原因である活性酸素の除去に有効であるとして、がん予防にも効果的なのではないかと注目が集まっているのです。
血中コレステロール値の安定
コレステロール値に気をつけるとはよく聞きますが、実はコレステロール自体は体内になくてはならないものです。全身の細胞膜を作る材料となります。
悪玉コレステロールは全身にコレステロールを運ぶ役割をし、善玉コレステロールが余ったコレステロールを回収してくるという働きをしています。
悪玉というので健康に悪いイメージになりがちですが、こちらも本来は必要なものなのです。
ではなぜ悪玉コレステロールにこれほど悪いイメージがついているのでしょうか?
これらのバランスが崩れて悪玉コレステロールが増えすぎてしまうと、余ったコレステロールが回収しきれずに血中のコレステロールが溜まり、血栓ができてしまうのです。この血栓が悪化すると動脈硬化に繋がります。
クロロフィルには血中のコレステロールを吸着して、そのまま体外に排出する働きがあります。この働きにより、血中コレステロール値が安定するのです。
貧血予防
貧血というと、とりあえず鉄分を摂取しておけばいいと思いがちですが、実は鉄だけでは貧血はなかなか改善しません。
鉄もヘモグロビンの中心構造のヘムと結合しないと、ヘモグロビンとなって酸素を運搬することができません。貧血を改善するには鉄だけでなく、鉄と結合するヘムの存在がなければならないのです。
クロロフィルにはヘモグロビンの中心構造のヘムとよく似た構造をしていると先に述べました。
具体的には、それぞれの構造の中心で結合している成分がクロロフィルはマグネシウム、ヘムは鉄というほどの違いしかありません。
そしてクロロフィルには、胃でマグネシウムと分離した後、鉄と結合し、ヘモグロビンになれるという性質があります。
貧血改善には鉄と一緒にクロロフィルを摂取するのが良いのです。
また、クロロフィルに含まれる有機ゲルマニウムには血流を良くし、全身に酸素を行き渡らせる作用もあるので、ぜひ貧血でお悩みの方には摂取してもらいたい成分といえます。
美肌・アンチエイジング効果
私たちが日常浴びている紫外線は有害な物質を含んだ光線のため、浴びると肌を守ろうとして活性酸素が作り出されます。
ところが発生した活性酸素はその強すぎる酸化力から、肌細胞まで酸化してしまいます。細胞の酸化はそのまま細胞の老化と同義です。老化した肌細胞はシミ、しわのもととなり、潤いやハリも失われてしまいます。
クロロフィルの持つ強い抗酸化作用がこういった肌の老化から守ってくれるのです。
また、クロロフィルは脂溶性のため、角質の皮膚層に溶けて、その殺菌力でニキビのもととなるアクネ菌の繁殖も防いでくれます。
青汁を飲むときの注意点
クロロフィルを含む濃い緑色の青汁をたくさん飲んでいると、便の色が緑色になった!という方もいると思います。これはこのクロロフィルが便に混じって排出されているためです。
クロロフィルは胃で分解されると吸収される分とそのまま体外に排出される分とがあります。この体外に排出される分はデトックス効果をもたらしてくれるので、あまり気にすることはありません。
ただし、青汁以外の原因で便の色が変化する場合もあるので、その点には注意してください。
便の色の変化が青汁のせいなのかそれ以外なのか、見分けるためにも、変化が合ったときは一度飲むのを中止するか量を減らしてみてください。もし色が戻れば青汁が原因ですし、戻らなければ他に原因があるとみて間違いないでしょう。
胆汁の成分の中に、空気に触れて酸化すると黄から緑に近い色に変化する成分があります。この胆汁が過剰に分泌されている場合は病院で診察してもらう必要があります。
不安な場合は医師に相談するようにしましょう。