青汁の最もよく使われる原料のうちのひとつ、大麦若葉。
大麦はビールや焼酎、麦茶、味噌やしょうゆなど身近な食品の原料としてよく耳にするかと思います。
その若葉である大麦若葉には実は健康に良い特有の成分、特徴があるのです。
一体どんな効果があるのか、ご紹介していきます。
大麦若葉とは?
イネ科の植物である大麦の、まだ穂をつける前の草丈20cmほどの時期の若葉を指します。
この時期の若葉を使う理由は単純で、最も栄養が多い時期だからです。草丈が伸びた60cmほどの時期の葉と栄養分を比べると、栄養素によっては2倍近くの差が開くため、この草丈20cmほどの時期の若葉を青汁では使用しています。
大麦は中央アジア原産の、世界で最も古くから栽培されてきた作物のうちのひとつです。
栽培には「麦踏み」という独特の行程があります。これは大麦の新芽が数枚出揃ったところで上から踏みつけるという作業です。この行程によって大麦が折れたり内部に傷がついたりすることで、麦の内部の水分量が減ってより丈夫に育ちます。
大麦若葉の栄養価が高い秘訣もこの麦踏みにあるのかもしれません。
大麦若葉の特徴
特有成分SOD酵素
大麦若葉にはSOD酵素という特有の成分が含まれています。
これはスーパーオキシド・ディスムターゼ酵素の略で、ざっくり言うと活性酸素を無毒化する酵素という意味です。
そもそも活性酸素は体内の有害物質を除去してくれる、体に必要なものなのですが、環境汚染や紫外線、過度な飲酒や喫煙により体内で必要以上に発生してしまうと自分の細胞まで傷つけてしまうため、問題となっています。
活性酸素は体が有害な刺激を受けると発生するため、過度な飲酒や喫煙、紫外線や強いストレスを感じても増えてしまいます。現代社会では活性酸素の増加を完全に予防することは難しいのです。
特に35歳を過ぎると体内で作られるSOD酵素の量は一気に減少していくので、意識して摂取したい成分となります。
栄養バランスが良い
実は、大麦若葉は他の青汁の原料であるケールや明日葉に比べると栄養成分が突出しているものがほとんどありません。その代わり全体的にバランスよく含んでいるという特徴があります。
すぐにどんな栄養素を補いたい!というときには向かないかもしれませんが、そもそも青汁は本来足りない野菜不足を補うために作られた飲み物です。
長期的に青汁で栄養不足を補おうとしたとき、最も適しているのは大麦若葉の青汁であるといえます。
飲みやすい味である
青汁を飲む際、どうしても気になるのが味ですよね。
青汁は一日飲めばいいというものではなく、長期的に飲んで初めて効果を発揮するので、嗜好品ではないとはいえ飲みやすい味のほうが嬉しいもの。
大麦若葉の青汁は抹茶に近い味で比較的飲みやすい味であることでも人気を博しています。
ケールは苦味が強く飲みにくいことで有名ですし、実は明日葉も苦味こそ控えめですが、セリ科独特の臭いがあるため、好みが分かれやすいのです。
青汁をはじめて飲むけど、味が不安で飲み続けられるかわからない……という方は、まず大麦若葉の青汁から試してみてください。
大麦若葉の青汁の効果
安眠効果
大麦若葉にはトリプトファンというアミノ酸が含まれています。
トリプトファンはセロトニンという神経のバランスを整える「幸せホルモン」を生成する原料となります。
このセロトニンは脳の松果体という部分で体内時計を正常に管理する「睡眠ホルモン」のメラトニンという物質にも変化します。
メラトニンは食事からはほとんど摂取できないホルモンのため、トリプトファンを摂取したほうが安眠効果を期待できるのです。
活性酸素の除去
前述の通り、大麦若葉の青汁にはSOD酵素が豊富に含まれています。
SOD酵素だけでなく、ビタミンCやビタミンEも強い抗酸化作用をもつ成分です。
活性酸素は様々な病気を引き起こす原因になるので、それらを予防し、また肌の老化を防いでアンチエイジングにも役立つとされています。
また、活性酸素は細胞を傷つけ、染色体異常を引き起こすとされています。がんは染色体異常の一種とされているため、がんの予防にもなると注目が集まっているのです。
動脈硬化の予防
大麦若葉に豊富に含まれる亜鉛には、血管にコレステロールが蓄積するのを防ぐ働きがあります。
また、悪玉コレステロールは活性酸素によって酸化させられると異物と判断されてマクロファージが食べてしまうのですが、この酸化した悪玉コレステロールを食べ過ぎたマクロファージは死んで泡沫細胞となります。この泡沫細胞が血管の壁にへばりつき、動脈硬化を引き起こしてしまうのです。
SOD酵素はこの動脈硬化の原因の活性酸素を除去してくれます。
血圧の低下
SOD酵素には血圧を低下させる効果があるとして、現在研究が進められています。ラットに対しSOD酵素を投与したところ、血圧の低下が見られたというのです。
まだ研究段階ではありますが、注目していきたい効果です。
貧血の予防・改善
含有している栄養のバランスが良いと先に述べましたが、実は突出して多く含む栄養もいくつかはあります。そのうちのひとつが鉄分です。
貧血の多くが鉄欠乏性貧血のため、貧血だなと思ったら大麦若葉の青汁を飲むようにしてみてください。
鉄分不足は集中力、思考力の低下も招くので、鉄分をしっかり補うようにしましょう。
便秘改善
大麦若葉の中でもうひとつ突出して多く含有している成分、それが食物繊維です。
食物繊維が非常に多いので、便のかさを増やし、腸の蠕動(ぜんどう)運動を促進して排便を促してくれます。
また、食物繊維が腸内のコレステロールや中性脂肪といった余分な物質を吸着して一緒に排出してくれるため、デトックスとしても効果も期待できます。便秘に悩む方だけでなく、ダイエット中の方もぜひ試してみてください。
大麦若葉の青汁を飲む際の注意点
大麦若葉に含まれるSOD酵素は熱に弱い成分です。
寒い冬などは、温かくしてホットで飲みたいということがあるかもしれません。その場合はできるだけ先に湯を沸かしたりお茶や牛乳を温めたりしておいて、飲む直前に青汁を混ぜるようにしてください。
SOD酵素の過剰摂取による副作用の報告もないので、あまり神経質にならず、一日の推奨量を守って毎日飲むようにしましょう。