皆さんは「ユーグレナ」という生物をご存知でしょうか。和名の「ミドリムシ」と言い換えたほうが知っている方は多いかもしれません。このユーグレナを使った青汁が新しく注目を集めています。
ここではこのユーグレナがいったいどんなものなのか、ご説明したいと思います。
ユーグレナとは
まずそもそもユーグレナとはどういった生物なのでしょうか。
これはわかめや昆布といった藻類の一種で、葉緑体を持ち光合成を行うことで成長します。
つまり一般的な植物と同じなのですが、ユーグレナにはひとつ大きな特徴があります。それは細胞壁を持たないということです。
細胞が細胞壁で覆われているのは植物の特徴のひとつで、動物の細胞にこの細胞壁はありません。これは自分で動くことが出来ない植物が、まっすぐ育つ茎などを風によって折られないよう丈夫に保つために持つ、植物の大きな特徴のひとつです。
しかし、ユーグレナは植物である藻類であるにも関わらず、この細胞壁を持たないのです。
しかも、先端についている繊毛で自在に動き、光合成が行えない環境だと外部から食物を取り込んで生きることもできます。ユーグレナが和名で「ミドリムシ」と呼ばれているのはこのためです。
動物と植物の両方の性質を併せ持つ生物、それがユーグレナなのです
ユーグレナが持つ栄養素
では、なぜこのユーグレナが青汁の新しい材料として注目されているのでしょうか。
実は、ユーグレナはそれだけで59種類もの栄養素を含んでいるというのです。
その内訳はビタミン14種類、ミネラル9種類、アミノ酸18種類、不飽和脂肪酸11種類、パラミロン、クロロフィルなどその他の栄養素7種類となっており、人間に必要な栄養素のほとんどをユーグレナは含有しています。
ユーグレナに含有されている栄養素(日本食品分析センター調べ) | |
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ビタミン類14種 | αカロテン、βカロテン、ビタミンB1、B2、B6、B12、C、D、E、K1、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸 |
ミネラル9種 | マンガン、鋼、鉄、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、カリウム、リン、ナトリウム |
アミノ酸18種 | パリン、ロイシン、イソロイシン、アラニン、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、スレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン、グリシン、セリン、シスチン |
不飽和脂肪酸 | DHA、EPA、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサジエン酸、アラキドン酸、ドコサテトラエン酸、ドコサペンタエン酸、ジホモ-γ-リノレン酸 |
その他 | パラミロン、クロロフィル、ルテイン、ゼアキサンチン、GABA、スペルミジン、プトレッシン |
というのも、ユーグレナは植物だけでなく動物の性質も併せ持っているため、青汁のようにビタミンが豊富なだけでなく、魚に多く含まれるDHAやEPAといった不飽和脂肪酸まで含んでいます。
植物由来の栄養素しか摂取できない青汁よりもさらにバランスよく様々な栄養素をまとめて摂取できることから、現在注目度が上がってきているのです。
また、ユーグレナには細胞壁がないため、青汁に豊富に含まれている食物繊維は含有していませんが、その代わりにパラミロンという成分を含有しています。
このパラミロンという成分はβグルカンという多糖類の一種で、ユーグレナだけが持つ成分です。
パラミロンの表面には無数の穴が開いており、食物繊維同様に不要な物質を吸い取って便と共に排出する性質があります。
この性質により様々な健康への効果を期待されている成分といえます。
栄養の吸収率が良いこともユーグレナの特徴のひとつです。
通常の青汁だと野菜をすりつぶして細胞壁を壊して作っているとはいえ細胞壁を全て完全に破壊できているわけではありません。
そうすると細胞壁に邪魔されて、吸収できずにそのまま排出されてしまう栄養素があるのですが、ユーグレナであればそもそも細胞壁がないため、効率よく栄養を吸収することが出来るのです。
その吸収率は93.1%にも及ぶといいます。一般的な細胞壁を持つ植物の栄養素の吸収率はおよそ40~60%といわれていることを考慮すると、このユーグレナの栄養吸収率は群を抜いているといえるでしょう。
青汁と比較して
これらより、ユーグレナは非常に栄養バランスに優れ、健康に良い原料であるということが分かるかと思います。青汁でも補うことが難しい動物性の栄養素も補うことが出来る健康食品として、これほど優れたものは類を見ないでしょう。
ですが、実はユーグレナの大量培養は非常に難しく、初めて成功したのは2005年12月と実に最近のことであり、またその培養法は秘匿情報とされているため、青汁として使われている商品がほかになく、普通の青汁と違いいくつかのユーグレナを使った青汁の中から選ぶということができません。
また、一杯あたりの値段も一般的な青汁と比較しても少々高めの価格といえるでしょう。
普段から肉や魚はよく食べるが野菜が足りていないと実感しているような方であれば、通常の青汁でもいいでしょうし、青汁で置き換えダイエットをしようと思っている方はユーグレナ入りの青汁のほうが栄養バランスの点において優れているといえます。
また、通常の青汁同様にビタミンKを豊富に含んでいるので、ワーファリンを服用中の方は注意が必要です。
ぜひご自分にあった青汁選びをしてください。