青汁の原材料欄を確認すると、この「難消化性デキストリン」という文字をよく見かけます。
言ってしまえば食物繊維の一種なのですが、青汁はもともと食物繊維が豊富に含まれています。
では、何故わざわざ添加されているのでしょうか?
この難消化性デキストリンについてご説明いたします。
難消化性デキストリンとは?
難消化性デキストリンとは、トウモロコシのデンプンを分解して人工的に作られた食物繊維で、その中でも、水に溶けるとゲル状になり粘着質を持つという水溶性食物繊維に分類されます。
現代人の食物繊維不足を補う目的で作られました。
人工とはいえ食物の、それもトウモロコシ由来なので、特に危険性はありません。それどころか健康への有用性が高いことから、トクホ(特定保健用食品)の成分にも指定されています。
腸内細菌が難消化性デキストリンを発酵させることにより短鎖脂肪酸という成分が作られるのですが、この短鎖脂肪酸により様々な有用性がもたらされているのです。
短鎖脂肪酸とは?
では、短鎖脂肪酸とは一体何なのでしょうか?
酪酸や酢酸といった分子量の小さな脂肪酸をまとめて「短鎖脂肪酸」といいます。
これは、水溶性食物繊維を腸内細菌が発酵することにより作り出されます。
大部分は大腸の粘膜から吸収され、上皮細胞増殖や粘液の分泌、また水分やミネラルを吸収するためのエネルギー源として利用されています。
さらに、一部は血流に乗って全身へと運ばれ、肝臓や腎臓、筋肉などの組織で同様にエネルギー源として、また脂肪を合成する材料として利用されます。
そして、大腸内のpHを弱酸性の状態にコントロールし、悪玉菌の増殖を抑え、腸内フローラを活発にする効果があるのです。
難消化性デキストリンの有用性
ミネラルの吸収促進
一般に食物繊維の欠点として「ミネラルの吸収を阻害する」というものがあります。
しかし、この難消化性デキストリンにおいては、むしろミネラルの吸収を促進する効果があるということがラットの実験で証明されました。
これは、難消化性デキストリンが発酵させられて短鎖脂肪酸が生産されることが影響しているといわれています。短鎖脂肪酸によって大腸内のpHが弱酸性に整うことによりミネラルの溶解度が高まって、吸収率が上がるというのが現在の見解です。
整腸作用
水分に溶けてゲル状になった難消化性デキストリンが腸内の不要な物質を絡めとり、便と一緒に排出して腸内をクリーンにしてくれます。
また、短鎖脂肪酸が腸内を弱酸性に保ってくれるので、腸内フローラが活発になって腸内環境を整える効果もあります。大腸の蠕動(ぜんどう)運動も促進して排便を促すので、便秘改善にも効果的です。
血糖値の上昇抑制
難消化性デキストリンが水分に溶けてゲル状になると、そのゲルが腸の粘膜を保護して食後の糖の吸収を緩やかにしてくれます。
急激に血糖値が上昇することを防いでくれるため、糖尿病予防に効果的です。
中性脂肪の吸収抑制
水分に溶けてゲル状になった難消化性デキストリンには粘着性もあります。この粘着性が腸内の中性脂肪を絡めとり、そのまま体外へと排出してくれるのです。
また、腸から血液に吸収される前に中性脂肪が排出されるため、血液中の悪玉コレステロールの増加を防ぐ効果もあります。
難消化性デキストリンが青汁に添加されている理由
以上のように、難消化性デキストリンには様々な有用性があります。とはいえ、そもそも食物繊維が豊富に含まれていることが特徴の青汁で、わざわざ敬遠されがちな添加物を混ぜる理由は何なのでしょうか?
この難消化性デキストリンは水溶性食物繊維であるとご説明いたしましたが、実は食物繊維にはもうひとつ、不溶性食物繊維もあるのです。
その名の通り、水に溶けない性質の食物繊維なのですが、それによって水溶性食物繊維とは少し異なった効果を発揮します。
そして、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維は2:1のバランスで摂取されることが望ましいとされているのです。
しかし、日常の食事だと水溶性食物繊維は不足しやすいとされています。青汁の材料でもそれは同じなのです。
そこで、材料だけではバランスが取れない分を、この難消化性デキストリンを添加することによって補っているわけです。
水溶性食物繊維を多く含む食品はこんにゃく、海藻類、きのこ類などがあげられます。これらをよく食べるような人であれば、わざわざ難消化性デキストリンが添加された青汁を飲む必要はないでしょう。
しかし、もし普段の食事のバランスが悪くて栄養不足を補いたいというような方は、あえて難消化性デキストリンが添加された青汁を飲むというのも選択肢のひとつかもしれません。
不足しがちな栄養補給を青汁で
青汁は普段の食事ではなかなか摂取しきれない栄養を補うということが本来の目的です。
自分の普段の食生活を振り返って、青汁選びに役立ててください。