青汁の素材(桑の葉)

青汁といえば昔はケールが主流でしたが、現在ではより飲みやすい味にすべく様々な葉野菜が青汁に使われています。

桑の葉もそのうちのひとつです。桑の葉で作られた青汁にはどんな栄養価が含まれているのでしょうか?

桑とは?

そもそも桑とは一体何なのでしょうか?

産業革命で絹糸の生産が盛んだった頃、絹糸を作り出す蚕の餌として栽培されていたのがこの桑です。当時は桑の栽培も盛んに行われていましたが、養蚕が衰退した現在では桑の畑のおよそ7割が遊休桑園となっているといいます。

そんな桑の葉ですが、実は古くから薬効があるとして活用されてきていたことがわかっています。

2世紀頃に書かれたという中国最古の医学書である『神農本草経』では桑が高血圧や滋養強壮に効果があるとされていますし、既に鎌倉時代には薬草として使われていたようです。

桑の葉の有効成分

桑の葉にはぜひ積極的に摂取していきたい健康に良い成分がたくさん含まれています。ビタミン、ミネラル、食物繊維などはもちろんのこと、他にも特徴的な成分が豊富です。

いくつかご紹介しましょう。

1‐デオキシノジリマイシン

身近な食品だと桑にしか含まれていない特殊な成分です。

この1‐デオキシノジリマイシンはブドウ糖とよく似た構造をしているのが特徴です。

どういった効果があるのかというと、食事などで体内に摂取された糖が小腸で吸収されることなくそのまま体外へ排出されるというもの。

ブドウ糖と似た構造のために、本来ブドウ糖と結びついて吸収を促すαグルコシターゼという酵素はこの1‐デオキシノジリマイシンと結合してしまいます。そうするとブドウ糖はαグルコシターゼと結合することが出来なくなり、体内に吸収されずそのまま体外へと排出されていくのです。

この効果により、糖質の吸収を抑える食品として、桑の葉が改めて注目されるようになりました。

血糖値を降下させる医薬品と異なり、長期にわたって継続して摂取しても低血糖状態には陥らないことも分かっています。血糖値の上昇を抑えることで活性酸素の発生も抑えることが出来るため、非常に健康に良い成分といえるでしょう。

GABA(γ-アミノ酪酸)

主に脳や脊髄で「抑制性の神経伝達物資」として働きます。

興奮を鎮めたり、気持ちを落ち着かせたりする抗ストレス作用があります。ドーパミンなど興奮系の神経伝達物質の過剰分泌を抑え、リラックス効果をもたらしてくれるのです。

しかしストレスの多い現代社会において、体内にあるGABAはストレスを和らげるために使われ、常に不足しやすい状態にあります。

本来であれば体内で十分な量が作り出されますが、過剰なストレスにさらされたり、また加齢が進んだりすることによって体内のGABA量は少なくなる傾向にあるのです。

GABAが不足すると興奮系の神経伝達物質が過剰に分泌されるのを抑えることができなくなるので、リラックスできず緊張状態が続くことになってしまいます。

また、GABAには血圧を下げる効果もあります。血管の働きをコントロールする自律神経の中枢に働きかけ、また血圧を上げる酵素の働きを阻害することによって、血圧を下げてくれるのです。

高血圧が気になる方はぜひ積極的に摂取して欲しい成分です。

もちろんこれ以外にもたくさんの栄養素を含有しています。

ポリフェノールやフラボノイド類など、調べればたくさんの栄養が含まれていることがわかるでしょう。

桑の葉の効果

様々な栄養を豊富に含んでいるだけあり、桑の葉の青汁には様々な効果が期待できます。

糖尿病予防

前述の1‐デオキシノジリマイシンの働きにより、とても効果が期待できるのがこの糖尿病予防です。

桑の葉は緑色植物の中で血糖値降下作用が最も優れているといわれています。

高血圧予防

こちらも前述のGABAの効果によります。

また、実は現在血糖値と血圧の関連性も証明されているため、1‐デオキシノジリマイシンの血糖値を下げる効果も高血圧予防にうってつけなのです。

便秘改善

豊富な食物繊維が便秘にいいことは予想がつくかと思いますが、さらに1‐デオキシノジリマイシンも実は便秘に非常に良い効果を与えてくれます。

というのも、1‐デオキシノジリマイシンの効果で吸収されなかった糖質が腸内フローラの餌になって腸内環境を整えてくれるのです。

食物繊維で便の状態を良くし、活発になった腸内フローラが腸の調子を整えて便を押し出してくれるので、より便秘への効果が期待できます。

ダイエット

こちらの効果は青汁全般で謳われるものですが、もちろん桑の葉の青汁でも発揮されます。

単純なところでは食物繊維とビタミン・ミネラル類が多いので、食事の量を少し減らして青汁に置き換える置き換えダイエットができます。

また1‐デオキシノジリマイシンの効果で糖質の吸収を抑えるほか、GABAの働きで成長ホルモンの分泌も促進されるため脂肪分解に大いに影響を与えます。

この効果はメタボリックシンドロームの予防・対策にも有効です。

桑の葉の副作用

これだけ様々な効果があると副作用の心配をされる方もいるかと思いますが、以前から漢方薬としても使われてきた桑の葉ですので、基本的に心配はありません。

強いてあげるとすると、強い整腸作用によりお腹がはったりおならが出たりする場合があるようです。もしこの症状が出て気になる場合は飲む量を少し減らしてみてください。

また、豊富な栄養素を含んでいるため、お薬を既に服用している方は医師の指導のもとで飲むようにしましょう。

青汁を飲むタイミング

青汁は通常いつでも好きなときに飲んでいいのですが、桑の葉の青汁の効果を最大限引き出すのであれば、食前に飲むことをおすすめします。

食前に一杯飲むことで1‐デオキシノジリマイシンの糖質吸収の抑制効果が最大限発揮されますし、食事の最初に野菜から食べるのと同じ状態になるので食べ過ぎを防いでくれます。

とはいえ青汁が一番効果を発揮するためには継続して飲むことが最も重要になります。

あまり気にせず自分の生活リズムに合わせて無理なく飲めるタイミングで飲んで大丈夫です。

近年でまた見直されてきた桑の葉を使った青汁には他の青汁にはない魅力的な成分がたっぷりです。ぜひ試してみてはいかがでしょうか。