シュウ酸という成分をご存知でしょうか。
尿路結石に繋がるといわれるシュウ酸ですが、実は青汁にもこのシュウ酸が含まれていることがあるのです。
ここではこのシュウ酸と青汁の関係についてご説明します。
シュウ酸とは
そもそもシュウ酸とは一体何なのでしょうか。
ほうれん草やたけのこなどに含まれる灰汁がシュウ酸となります。苦味やエグみの元がこのシュウ酸なのです。
水に溶けやすい性質を持っているので、軽く茹でることでシュウ酸の大部分はゆで汁に溶け出します。
また、肉を食べることによって、体内で動物性たんぱく質からシュウ酸が増えることもあります。
シュウ酸は少量であればその食品の風味、持ち味といえます。
しかし、腸内でカルシウムと結合してシュウ酸カルシウムになってしまうため、カルシウムの吸収を阻害するというデメリットがあります。
この結合してできるシュウ酸カルシウムは針状の結晶の形をしています。
とろろなどが肌に付くと痒くなってくるのはこの針状結晶が肌に刺さって刺激を与えているからなのです。
尿路結石
次に尿路結石とはどんなものなのか簡単にご説明いたします。
様々な病気の中で特に激痛を伴うものを三大激痛と呼ぶことがありますが、これは諸説があるので人によってばらつきがあります。
しかしそんな中でもほぼ確実にその三つのうちのひとつに数えられるほどの激痛を伴うのがこの尿路結石です。
その名の通り、腎臓、尿管、膀胱、尿道といった尿路に結石ができる病気です。
結石にはいくつか種類がありますが、およそ80%はシュウ酸カルシウムなどのかたまりであるカルシウム結石とされています。
尿路結石はすぐに死に直結するような病気ではありませんが、痛みが非常に激しく、また排尿の障害になるため残尿感があったり、結石が尿道などを傷つけることで血尿が排出されたりするので、日常生活にも支障をきたすことがあります。
結石ができる原因
この結石ができる原因に、シュウ酸が関わっているのです。
シュウ酸は通常腸の中でカルシウムと結びつき、便と共に体の外へと排出されます。
しかし体内のシュウ酸が多くなりすぎると腸内でカルシウムと結合しきれず、余った分が尿にも混じるようになります。
そうすると今度は尿の中でカルシウムとシュウ酸が結合し、尿路結石となるのです。
通常であれば腸から便として問題なく排出されるところが、行き場をなくしてしまったシュウ酸が尿にまぎれてそこでカルシウムと結合すると、尿管は細いので排出されるときに激痛を伴うのです。
シュウ酸を含む青汁
青汁にも全くシュウ酸が含まれていないということはありません。
通常下茹で処理などをするためシュウ酸が粗方取り除かれた状態で食べるような野菜でも、青汁の場合は生の状態ですりつぶして汁を絞り取って飲みます。
シュウ酸を含んだ野菜を使えばそのシュウ酸ももちろん青汁に含まれてしまうのです。
青汁の材料としてよく使われる野菜とそのシュウ酸の含有量を調べてみました。
100gあたりのシュウ酸含有量(mg) | |
---|---|
ほうれん草 | 970 |
ケール | 20 |
小松菜 | 51 |
ブロッコリー | 190 |
キャベツ | 100 |
セロリ | 190 |
パセリ | 1700 |
レタス | 330 |
モロヘイヤ | 163 |
※ Agriculture Handbook No. 8-11, Vegetables and Vegetable Products及び松山東雲短期大学 カメゼミ調べ(小松菜、モロヘイヤ)より
ほうれん草やパセリのシュウ酸含有量が特に多く、逆にケールや小松菜は少ないということが良く分かるかと思います。
一日に何杯もゴクゴク飲みたいという方や特に結石持ちの方はほうれん草やパセリを使用した青汁は控え、ケールや小松菜メインの青汁を飲むことをおすすめします。
尿路結石にならないために
まずはシュウ酸をできるだけ減らすことが大事になります。
普段から肉ばかりを食べている人は食べる量を減らして野菜も食べるようにしましょう。
また、実はチョコレートやココア、紅茶、コーヒーなどにもシュウ酸は多く含まれています。
これらが好きでよく食べたり飲んだりする方は、少し量を意識して減らすなどするようにしてみましょう。
また、水分を意識してとるようにしてください。
尿の濃度が高いとそれだけ結石ができやすくなってしまいます。
ほかに、シュウ酸を大量に摂取しすぎると尿路結石になる、と述べましたが、シュウ酸が余ってしまう状態になると尿路結石ができてしまうので、逆にカルシウム不足でも尿路結石になることがあります。
シュウ酸の摂取量を全く0にすることはほぼ不可能ですので、カルシウムもきちんと意識して取るようにするとより安心でしょう。
特にケールのカルシウム含有量は明日葉や大麦若葉よりも多く含まれているので、尿路結石を気にする方にはおすすめの青汁になります。
100gあたりのカルシウム含有量(mg) | |
---|---|
ケール | 220 |
大麦若葉 | 29 |
明日葉 | 65 |
また、ケールの味がどうしても苦手で飲めない、という方は青汁を牛乳に混ぜて飲むのもいいでしょう。
牛乳で青臭さがカバーされ飲みやすいですし、牛乳にもまたカルシウムが豊富に含まれているのでぜひおすすめしたい組み合わせです。
シュウ酸も大量に摂取しなければ問題のない成分です。
上手に青汁を飲んで健康を目指していきましょう。