妊娠するとお腹の赤ちゃんの分の栄養まで摂取しなくちゃいけなかったり、その一方つわりが酷くて思うようにご飯が食べられなかったり……と、食事や栄養面に対して悩み事が絶えないかと思います。
そんなときは、青汁を飲んでみるのはどうでしょうか?
そもそも妊娠中に青汁を飲んでもいいの?
妊娠中はできるだけ自然なものしか食べたくないし、薬なんて論外……と考える方が多いと思います。
では青汁はどうなのかというと、結論から言ってしまえば「妊娠中でも青汁は飲んでOK」です。青汁は端的に言ってしまえば野菜の搾り汁なので、普通の食品と変わらず食べて大丈夫なのです。
うなぎやレバーは控えるようにってお医者様に言われた!という方もいるかと思いますが、これにはビタミンAが関係しています。
ビタミンAには大きく分けて動物由来のレチノールと、植物由来のβカロテンがあります。この動物性のレチノールが問題で、脂溶性であるビタミンAを過剰摂取すると、過剰症や胎児の奇形を引き起こす可能性が高くなるといわれているのです。
一方で植物性であるβカロテンは小腸で吸収される際に、必要に応じてビタミンAに変化する性質があります。このため、βカロテンは過剰症を引き起こす危険性が低いのです。
青汁はもちろん植物由来のため、含んでいるものもβカロテンです。
むしろビタミンAの欠乏を防ぐためにも、青汁などからβカロテンを摂取するのがおすすめなのです。
妊婦さんにおすすめの栄養
お腹の赤ちゃんに栄養をいっぱい送らなければいけない妊婦さんは、つわりなど思うように食事ができないこともあいまって栄養不足になりがちです。
青汁で手軽に栄養補給していきましょう。
カルシウム
赤ちゃんの骨や歯になるカルシウムが不足すると、出産後に母体が骨粗しょう症になってしまう恐れがあります。
というのも、妊娠中にカルシウムが足りていないと、母体の骨の中に蓄えられている分のカルシウムが赤ちゃんの成長に使われてしまいます。
そうすると、出産を終えた頃には母体の骨の中はスカスカになって骨粗しょう症になってしまうのです。
また、カルシウムが不足すると、神経系のバランスが崩れてイライラしやすくなってしまいます。
妊娠中はホルモンバランスも崩れて精神的に不安定になりがちなので、カルシウム不足は防ぎたいところ。
青汁、特にケールを原料にした青汁にはカルシウムが豊富に含まれているので、つわりで牛乳が飲めないという方も試してみてはどうでしょうか。
鉄分
それまで貧血になったことがない人でも、妊娠したら貧血になったという話はよく聞きます。
実は妊娠初期は、むしろ妊娠していないときよりも摂取すべき量が少ないのですが、これが妊娠中~後期になると通常の倍の鉄分を摂取しなければならなくなるのです。
これはお腹の赤ちゃんが鉄分を必要としているからで、母体が軽い貧血状態にとどまるのであれば赤ちゃんにも栄養は行き渡っているので、神経質になる必要はありません。
しかし、ひどい立ちくらみなど、転倒の危険があると母体も赤ちゃんも危ないので、改善する必要があるでしょう。
青汁には鉄分とともに、鉄分の吸収率を上げるビタミンCが豊富に含まれています。鉄分は吸収率の低い、摂取の難しい成分なので、効率よく摂取するようにしましょう。
食物繊維
妊婦さんは便秘になりがちです。
妊娠中の便秘の原因は様々ですが、特に妊娠初期と中~後期で大きくふたつの原因が挙げられます。
- 妊娠初期 ホルモンバランスの影響
妊娠すると、プロゲステロンという女性ホルモンが継続して分泌されるようになります。
これには筋肉を弛緩させる作用があり、腸の蠕動(ぜんどう)運動も弱らせてしまうのです。そうすると便を押し出す力が足りなくなり、便秘になってしまうのです。
- 妊娠中~後期 直腸性便秘
妊娠中期以降、お腹の中の赤ちゃんが大きくなってくると、赤ちゃんのいる子宮が大腸を圧迫してしまうことにより便秘になってしまうことがあります。
これを直腸性便秘といいます。
子宮が大きくなってくると腸は背中のほうに移動してしまい、大腸の中で便が思うように進まなくなってしまうのです。
青汁で解消の手助けができる便秘は妊娠前期の便秘です。
青汁に豊富な食物繊維が腸を刺激して、蠕動運動を促進してくれます。
特に妊娠中はつわりや食の嗜好の変化もあって思うように食事が取れないことが多いと思うので、水に混ぜてサッと飲める青汁は手軽でおすすめです。
また、合わせて散歩などの軽い運動もできる範囲で心がけてみましょう。
直腸性便秘は蠕動運動の弱まりが原因ではないので食物繊維を摂取しても改善できるとは限りませんが、適度な運動は有効なので、できる時に体を動かす癖をつけておくと良いかもしれません。
妊娠中に飲む青汁の注意点
妊婦さんが飲むのであれば、青汁を選ぶうえでいくつか注意したいことがあります。
できるだけ無添加・無農薬の製品を選ぶ
現在の青汁は飲みやすく、また価格をできるだけ抑えられるよう、保存料や甘味料・香料といった添加物が入っている製品も多いです。
お腹の中に赤ちゃんがいるうちは、できる限り避けたほうが良いでしょう。
農薬も同様で、無農薬栽培なのか、あるいは残留農薬の検査を通過しているのかなど、きちんと確認して選ぶようにしてください。
とはいえ、日本で使用されている添加物は全て安全性が保障されています。
あまり神経質にならず、できるだけ無添加の製品の中から、自分の飲めそうな青汁を選びましょう。
原料の産地がはっきりしている
とりあえず国産と記載されている青汁なら問題ないだろう、というのは実は誤解です。
というのも、原料の野菜が中国など海外で育てられていても、最終的な加工が日本で行われていたら「国産」と表記できるからです。
むしろ、自信のある青汁はこうして産地を誤魔化さず、中国産でもどういった経緯でその土地で栽培しているかなど、はっきり明記しています。
不安だったら、メーカーに直接問い合わせてみてもいいでしょう。
カフェイン入りの青汁は避ける
青汁の原料によっては多少カフェインが混じっていることもありますが、これは微量のため気にする必要はありません。
注意して欲しいのは、飲みやすくするためにお茶入りや抹茶が混ぜてあるタイプの青汁です。
お茶の風味で飲みやすくなっているのはこのタイプの特徴ですが、お茶にはカフェインが含まれているためあまりおすすめできません。
全くカフェインをとってはいけないということはないのですが、青汁以外にもお茶などを飲むことを考えると、できるだけ控えたほうが無難でしょう。
妊婦さんにおすすめの青汁
妊娠しているときはつわりがあったり、食の嗜好も変わったりしているので、とにかく妊婦さん本人が「おいしい」と思って飲める青汁を選ぶことをおすすめします。
含有している栄養に多少の差はあっても、きちんとした青汁なら栄養補給が望めるでしょう。
青汁を飲むことでストレスを溜めてしまっては、母子ともに良い影響はありません。
製品によっては初回限定で低価格のおためし数回分のセットを販売している場合もあります。本当に飲み続けられる味かどうか、こういった製品で確認してから購入するほうが安心です。
また、妊娠中は葉酸サプリを愛飲する方も多いかと思います。
青汁にも葉酸は含まれていますが、青汁で摂取できる葉酸は「ポリグルタミン酸型葉酸」といって、吸収率が50%ほどしかありません。
厚生労働省が摂取を推奨し、葉酸サプリにも使われているのは「モノグルタミン酸型葉酸」といって、効果が実証されているのもこのモノグルタミン酸型のみなのです。
青汁で摂取できる葉酸は参考程度に考えておいてください。
青汁を飲み始める前に担当医に確認するようにしましょう!
最後に、青汁を飲む場合のメリットや注意点を挙げましたが、これらはあくまで参考として、妊婦さんご自身で選ぶ際の目安程度に捉えてください。
妊娠期間中はデリケートですので、青汁を飲む前に必ず一度、医師の確認を取るようにしましょう。
青汁がきっと母子共に健康で出産を迎えられる手助けになってくれるでしょう。